「最新ガイドラインが伝える“血圧の目標値”」──時代とともに変わる“ちょうどいい血圧”
🌿 はじめに
こんにちは、松本です。
前回の「家庭血圧を制する者は、高血圧を制す」の記事にも、非常に多くの反響をいただきました。
「朝と夜、どちらを優先すべき?」「測るたびに違うのはなぜ?」など、**“具体的な測定方法”**についてのご質問を多くいただきました。
今回は、その “測った血圧をどう読み取るか” というテーマで、2025年に改訂された高血圧管理・治療ガイドライン2025 に基づいて、血圧の目標値について分かりやすく解説します。
📚 ガイドラインは医療の“道しるべ”
高血圧治療は医学の進歩とともに変化します。
2025年に改訂された高血圧管理・治療ガイドライン2025では、以下が大きな特徴です。
✅ 「家庭血圧」をこれまで以上に重視
✅ 血圧は“より早期から適正値へ”という流れが明確に
✅ 個別化(オーダーメイド)の血圧管理がより重視される
診察室だけでなく、家庭での血圧を基準に治療方針を決めていく時代になっています。
🎯 どこまで下げればいい?──高血圧管理・治療ガイドライン2025の“血圧目標値”
JSH2025では、年齢や合併症に関わらず全ての成人の治療目標が統一されました。
📍 血圧の目標値 高血圧管理・治療ガイドライン2025
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対象 |
診察室血圧の目標値 |
家庭血圧の目標値 |
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全ての成人 |
130/80 mmHg 未満 |
125/75 mmHg 未満 |
📌 ポイント
- 家庭血圧のほうが測定環境が安定しているため、診察室より低めの基準が設定されています。
- 高齢者でも上記の血圧を目標にした治療で脳心血管イベントを抑制します。一方で “下げすぎによるふらつきや転倒予防” も重視されています。
- 目標はあくまで 「安全に」「無理なく」「継続的に」 達成することが大切です。
💡 “ちょうどいい血圧”は人それぞれ
同じ「130/80」でも、
・その値が自然に保てている方
・薬で下げているがフラつきや疲労が出ている方
では、意味が異なります。
大切なのは、「あなたの体にとって最適な血圧」=個別目標 を一緒に見つけていくこと。これを “個別化治療(Tailored BP Therapy)” と呼び、ガイドラインで強調されている考え方です。
🩺 薬だけではない、“生活で下げる力”も重要
ガイドラインでは、薬物療法とあわせて、以下の生活改善が強く推奨されています。
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生活習慣 |
推奨内容 |
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食事 |
減塩(1日6g未満)、野菜・果物を増やす |
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体重 |
BMI 25未満を目指す |
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運動 |
有酸素運動+筋トレを組み合わせる |
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睡眠 |
7時間前後、睡眠の質を整える |
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その他 |
禁煙、節酒、ストレス管理 |
生活習慣だけで 5〜10mmHg 下がることも十分可能 です。
薬と生活習慣はどちらが主役ではなく、**“チームで血圧を下げる”**という考え方が大切です。
🕊️ おわりに
血圧の目標値は“ただの数字”ではなく、
未来の心臓・脳・腎臓を守る道しるべです。
無理に一気に下げる必要はありません。
一緒に、あなたに合ったペースで整えていきましょう。
次回は、
「減塩のコツ──塩分“を減らす”ではなく“味を変える”」
をテーマに、食卓から血圧を守る方法をお届けします。
松本ほがらかクリニックは、地域のみなさんとともに、
“ほがらかな明日のために今できること”を大切にしていきます。

