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ちょっと気になる“糖尿病”のお話⑨

こんにちは。 松本ほがらかクリニック阪急高槻市駅前の渡邉です。

前回のブログでは、糖尿病がなぜ「全身の病気」と呼ばれるのか、そして合併症がどのように、時間をかけて進行していくのかについてお話ししました。今回の【第9回】では、糖尿病の代表的な合併症である眼の合併症(糖尿病網膜症)、腎臓の合併症(糖尿病腎症)、神経の合併症(糖尿病神経障害)について、それぞれをもう少し具体的に、できるだけ分かりやすく解説していきます。

 

① 眼の合併症:糖尿病網膜症

糖尿病による眼の合併症は、「糖尿病網膜症」と呼ばれます。網膜は、目の奥にある“物を見るために最も大切な場所”です。高血糖の状態が続くと、網膜の非常に細い血管が傷つき、出血やむくみが起こります。この病気の一番の特徴は、かなり進行するまで自覚症状がほとんどないことです。「見えているから大丈夫」と思っている間に進行し、 ・視界がかすむ ・黒い点が飛ぶように見える(飛蚊症) ・急に視力が落ちる といった症状が出た時には、すでに治療が必要な段階になっていることもあります。そのため、症状がなくても年1回以上の眼底検査がとても大切です。

 

② 腎臓の合併症:糖尿病腎症

腎臓は、血液をろ過して老廃物を尿として排出する重要な臓器です。糖尿病では、腎臓の中の細い血管(糸球体)が障害され、徐々に腎機能が低下していきます。糖尿病腎症も、初期にはほとんど症状がありません。 ・むくみ ・尿量の変化 などが出る頃には、かなり進行していることもあります。早期発見のポイントは尿検査です。 尿たんぱくや尿中アルブミンを定期的に調べることで、症状が出る前の段階で異常を見つけることができます。腎症が進行すると、将来的に透析が必要になる可能性もあるため、早めの管理が非常に重要です。

 

③ 神経の合併症:糖尿病神経障害

糖尿病は、血管だけでなく神経にもダメージを与えます。特に多いのが、手足の先に起こる神経障害です。足先や指先のしびれ 、ピリピリやジンジンする痛み 、感覚が鈍くなるといった症状が代表的です。感覚が鈍くなると、 靴ずれ や小さな傷 に気づきにくくなり、感染や潰瘍、重症化すると足の切断につながることもあります。また、神経障害は自律神経にも影響し、 立ちくらみ 、動悸 、胃腸の不調 、排尿のトラブル といった症状として現れることもあります。

 

④ 大血管の合併症:動脈硬化(心臓・脳・足)

糖尿病の合併症というと、眼・腎臓・神経の「細い血管」の障害がよく知られていますが、実は命に直結しやすいのが大血管の合併症です。高血糖の状態が続くと、血管の内側が傷つき、動脈硬化が進行しやすくなります。これにより、次のような病気のリスクが高まります。

  • ・心筋梗塞・狭心症(心臓の血管)
  • ・脳梗塞・脳出血(脳の血管)
  • ・下肢閉塞性動脈疾患(足の血管)
  • 自覚症状が出たときは要注意です。大血管の合併症は、胸の痛みや圧迫感、歩くと足が痛くなり、休むと楽になる片側の手足が動かしにくい、言葉が出にくいといった症状で初めて気づかれることがあります。しかし、これらが現れた時点ではすでに血管の病気が進行していることが多いのが現実です。
  • 大血管障害の予防するには、血糖値以外も血圧やコレステロールや禁煙といった総合的な管理が非常に重要です。「血糖値だけ良ければ安心」ではありません。合併症を防ぐために大切なこと糖尿病の合併症は、定期的な通院や検査を継続することで、発症や進行を大きく遅らせることができます。症状がない「今」こそが、実は一番大切な時期です。

 

最後に糖尿病の合併症は、ある日突然起こるものではありません。長い時間をかけて、静かに進行していきます。きちんと通院し、検査を受け、治療を続けていけば、防げる・遅らせられる合併症がたくさんあります。当院では、血糖値の管理だけでなく、合併症の早期発見と予防にも力を入れています。

次回は、ちょっと気になる糖尿病の話の最終回となります、これまでの9回のまとめについて解説する予定です。ぜひご覧ください。