睡眠時無呼吸症候群(SAS)シリーズ〜第2回 SASの疫学〜
2026.01.27
皆さんこんにちは。院長の松本です。
前回は「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の歴史」についてお話ししました。
今回は、「どんな人がなりやすくて、なぜ治療が必要なのか?」というお話です。
・SASの有病率
1993年に米国で実施された調査では、無呼吸指数5/H以上で眠気症状があった人が男性の4%、女性の2%と報告されています。
しかし、その後2013年に同様の調査を行ったところ、男性の14.3%、女性の5.0%となり、20年間に治療対象者が3倍程度膨れ上がっていたのです。
肥満人口の増加が主な要因であるとされています。
年齢、BMIで区切った有病率の図をご覧ください。

肥満人口の影響の大きさが推測できます。
・加齢変化
図からはBMIが大きな予測因子であることが明らかです。
また、年齢とともに有病率が増えることに加えて、若い世代にとっては肥満が大きな原因となっている一方で、年齢とともに肥満が高度でなくても別の要因でSASになることも推測されます。
・国内外の違い
「欧米人は体が大きいからSASが多い」と思われがちですが、日本人でもSASは少なくありません。
日本人は、顔の骨格のどの構造の影響で、体型に関係なくSASになりやすいと考えられています。
・男女の違い
SASは男性に多い病気で有病率は女性の2〜3倍ですが、女性にも確実に存在します。
しかし、実際に外来受診するのは男性が女性の6倍というデータがあります。
女性が受診しないのはSASが肥満男性の病気というイメージが強いせいかもしれません。
不思議なことに家族からイビキを指摘され受診するというパターンは、妻が夫のイビキを指摘するという話がほとんどなんです。
・SASが引き起こす病気
SASの患者さんを診ていると、合併症が多いことに気が付きます。
治療抵抗性の高血圧にSASが原因となっていることもしばしば経験します。
SASは「眠りの問題」だけではありません。
治療せずに放置すると、
高血圧の発症:健康時と比較して2.9倍
2型糖尿病の発症:1.6倍
心臓の病気:4倍
脳卒中の発症:3.3倍
と、病気のリスクが高くなることが分かっています。
しかし、SASの患者さんもCPAP療法を継続すればSASがない人たちと予後が変わらないことも示されています。
次回は、「SASと合併する様々な疾患」について、もう少し詳しくお話しします。
ともに学んでいきましょう!

