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「家庭血圧を制する者は、高血圧を制す」──正しい測り方と“見逃しやすい落とし穴”

🌿 はじめに
こんにちは、松本です。
前回の「高血圧パラドックス」についての記事には、想像以上に多くの反響をいただき、地域の皆さんが“血圧と心臓を守る”ことへの関心が高いのを改めて感じました。
その中でも特に多かった質問が、「家庭での血圧はどう測ればいいの?」「いつ、どんな姿勢で測るのが正しいの?」という**“具体的な測定方法”**に関するものでした。
確かに、薬や食事よりも先に、まず“正しい測り方”を知ることが、血圧管理の第一歩です。
そこで今回は、“家庭血圧”の重要性と、正確に測るためのポイントを詳しくお伝えします
 
🏠 なぜ「家庭血圧」が大切なのか
血圧というのは、病院で測った数値だけではわかりません。
多くの方が“白衣高血圧”といって、診察室では緊張のために高めに出てしまいます。
その一方で、病院では正常なのに自宅では高い“仮面高血圧”というタイプもあります。
この「仮面高血圧」は、本人も気づかないうちに心血管への負担が続き、心臓病や脳卒中のリスクを高めることが知られています。だからこそ、家庭で測った血圧こそが、あなたの“本当の血圧”を映し出す鏡なのです。近年のガイドラインでも、診察室での血圧よりも家庭血圧の値を治療判断の基準とする流れが主流になっています。つまり、「家での血圧をどれだけ安定させられるか」が、これからの血圧管理の鍵になるのです。
 
📏 正しい測定のポイントとタイミング
家庭での血圧測定は、以下のように行うと正確で再現性の高いデータが得られます。
〄測定機器
・上腕カフ(腕帯)式を使用
🪶測定環境
・ 静かで適温の室内
・ 原則として背もたれ付きの椅子に足を組まずに座る
・ 足の裏は床にしっかりつける
・ カフは心臓の高さに合わせる
・ 腕まくりはせず、薄手の衣服の上から測る
・ 測定前安静時、測定中は会話しない
🌅 朝の血圧(1日のベースライン)
・ 起床後1時間以内
・ 排尿後、朝食前、服薬前
・ 座位1〜2分安静後
※朝は自律神経が活発になり、血圧が最も上がりやすい時間帯です。
この“朝の血圧”が高い人は、脳卒中や心筋梗塞のリスクが特に高いことがわかっています。
🌙 夜の血圧(1日の締めくくり)
・ 就寝前、リラックスした状態で
・ 入浴・飲酒・喫煙直後は避ける(少なくとも30分後)
※夜の血圧が高い「夜間高血圧」も要注意。
寝ている間に血管が休めず、心臓・腎臓への負担が増します。
📖 記録の仕方
・ 2回測定しその平均値を記録スマホのアプリや血圧手帳を活用し記録する
・ スマホのアプリや血圧手帳を活用し記録する
・ 1〜2週間分をまとめて主治医に見せると診療がスムーズに進みます
⚠️ よくある落とし穴
・ コーヒーや喫煙の直後に測る(血圧が上がります)
・ 入浴直後に測る(血圧が下がります)
・ 緊張したまま測る(思った以上に上がります)
・ 日によって測定時間がバラバラ(比較できません)
ポイントは「毎日、同じ条件で」。
測定の“質”が変わると、治療の方向性も誤ってしまうことがあります。
💡 続けるためのコツ
・ 一喜一憂せず、「変化を知る」意識で
・ 測ったら自分を褒める(“今日も測れた”で十分!)
・ 家族で一緒に測ると、習慣化しやすくなります
・ 朝と夜に血圧を測り続けている人は、心臓病の予防率が格段に高いというデータもあります。
・ “継続”こそ最強の治療法です。
 
🕊️ おわりに
血圧を測ることは、「自分の体と対話すること」です。
数字はただの結果ではなく、あなたの生活と血管のリズムを教えてくれるメッセージです。
次回は、
「最新ガイドラインが伝える“血圧の目標値”」をテーマにお届けします。
新しい指針を通して、より安全で効果的な血圧管理を一緒に考えていきましょう。
松本ほがらかクリニックは、地域の皆さまとともに、
“ほがらかな明日のために今できること”を大切にしていきます。